ある物語
19世紀の初期、東南アジアで生まれた美しい女性の話し。
彼女は貧しい農村に生まれた。
もの心ついた時には、母親との2人暮らしだった。
彼女の楽しみは、近所の同い年の仲間と泥遊びをすることだった。
母の手伝いをしながら大きくなった彼女は、当時の国を治める王宮の
王様に3人目の妻として向かいいれられた。
母と別れるのは辛く、寂しさを抱いていたが、
「貧乏を抜け出したい!!」
という気持ちに負け、母を捨てて王様のもとへ嫁ぐことを決心した。
王宮の暮らしは、今まで体験した事の無い、見るもの全てが驚きの連続。
食事は今まで味わった事のない豪華で美味しいものだった。
夢のような生活も1年が過ぎ2年が過ぎると、当たり前のこととして感動すら
なくなっていった。
子供を身ごもった・・・
女の子が生まれた。
祝福されるものだと思っていたが、女と解ると周りからの扱が徐々に
軽薄になっていくのを感じた。
跡取りを生む為の道具としての扱を日に日に感じるようになっていた。
その後はあてがわれていた召使も居なくなり、
彼女は孤独を感じるようになっていった。
そんな時、娘が重い病を罹った。
看病をするのだが、満足な薬も与えてもらえず、娘はこの世を去った。
寂しさのあまり、気が狂いそうになった。
満足に治療もしてくれない王様に恨みを抱き続けることになった。
怨んでも、怨んでも、怨みたりない・・・・
王様のもとには、次から次に綺麗な女が妻になっていった。
彼女は日に日に後悔をしていた。
自分の欲の為に母を捨てていったこと。
豊かな暮らしに目がくらみ、大事なものを失っていったことを・・・
ある日、クーデターが起きた。
無謀な政権を繰り返し、村人を苦しめ続けた、市民を苦しめ続けた不満と怒りが爆発したのだ。
その怒りは、王宮の兵士まで飛び火していた。
反乱を起こした兵士達は、王様の家臣を次々に切りつけていった。
辺りは身を切り裂く悲鳴と血の海。
彼女もまた王の妻として、標的になった。
彼女は逃げた・・・
城の裏門まで逃げた・・・
恐怖と不安の中、逃げ惑った。
高くそびえる裏門の石垣に彼女は追い込まれた。
10人の兵士に囲まれた。
彼女は一瞬の内に首をはねられ死んでしまった・・・・
彼女は知っていた。
こうなる事を知っていたのだ。
王様が無茶なことを押し付け、村人に家来に横暴だった。
自分さえ良ければそれで満足だった。
王様は人の気持ちなど考えてはいなかった。
人の上に立つべきでない人だと・・・
彼女は後悔していた。
王様の行為を横目にしながら、してはいけない事だと思っていたが
自分の生活を維持する為に何も言えず、何も出来なかった事を・・・
死んでしまった自分の亡骸を見下ろしながら、彼女は後悔をしていた。
次こそは、勇気を持って愛を与えるようになりたいと誓った。
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